ドラマニアまさみの「激甘」鑑賞日記

海外ドラマが大好きな佐藤雅美が、徒然なるままに鑑賞日記をつけていきます。製作者すべてに敬意を払って、批評は激辛ではなく、激甘です。

『アンビリーバブル たった1つの真実』Netflix ネタバレ一部

『物語を観ながら私達が感じたたった1つの希望は

きっと彼女が願い続けたこと。』

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私がもしこのドラマのキャッチコピーを求められたらという夢のまた夢過ぎる妄想を頂くなら、きっとこう書く。

そう、求められてもないけれど、きっとこう書く。

 

 

普段の生活では、

重たい話やしんどい話は好んで見ないのです、私。

 

理由を本当に簡単にシュパッっと言うのならば、

だって見るの、ものすごく疲れちゃうから!!!←

 

 

集中力も使うし、内容が内容だけに気軽に見れないし、何かしながら片手間に見るなんて出来ないのでどうしても敬遠しがちになってしまうエブリデイ。

(その理由であんなに大人気なブレイキング・バッドもシーズン1すら見終われていない←)

 

 

でも、この話はなんでか再生ボタンを押してしまい、

そしてそのまま最後まで一気見してしまったのです。

 

 

そんなこんなであらすじはこちら。

若い女性によるレイプ被害の訴えを作り話として片付ける警察。だが数年後、酷似した手口の事件が続き、2人の女刑事が捜査に乗り出す。実話に着想を得たシリーズ。

ネットフリックスの中のリミテッドシリーズの1作。

こちらは全8話完結なので、映画よりはもちろん長いけど、普通の海外ドラマよりも圧倒的に短く、もちろん途中でストーリーが迷走しだしたり、打ち切りになったりすることもなく!(笑)スムーズに一気見することができるのでオススメです。

 

 

 

 

そしてここからはネタバレ含む感想になるのですが

再生ボタンを押しての1話目は、

 

 

 

 

 

とにかく辛かった。

 

 

 

少女がレイプ被害にあうことも、その捜査の過程で何度も何度も事情聴取をされることも、混乱していることにより証言が変わったことでウソつき扱いされることも、警察の業務を妨害したと訴えられることも、名前が広まり人の目につくところでアルバイトできなくなることも、とにかく、とにかくその全てが本当に辛かった。

「これはフィクションフィクションフィクション」って自分に言い聞かせてその辛さを軽減させようとしても、途中フィクションというワードがゲシュタルト崩壊しそうになっても

あらすじにある「実話に着想を得た」というワードに、

「いや、フィクションではない、このようなことが自分の知らない場所で確かに現実としてあるんだ」という、言い得ない絶望感を抱くことになったのです。

 

 

 

 

ほんと、なんの、救いようもない!!!

だから!!!!!!!辛いから!!!!!!

普段は見たくないんだ!!!!!!ばかやろう!!!!

なぜ観たのだよ!!私め!!!!!!!!!!

(自業自得)

 

 

とにかく1話目はそんな感じでした。

 

でも今思えばこの1話目がものすごく重要で、

この1話目の残酷さが

主人公と同じように絶望を疑似体験させ、

そして見ている側の私自身すら

もはや誰も信じられないという状態まで持っていってくれたのだろうと。

 

なぜなら結果として2話目以降に出てくる人のことも、

私は「え?なに?信じてもいいの?」という目でずっと見ていたから。

 

別にサスペンスドラマでもないのだから犯人を暴く必要もないのに、

もうずっと疑いの目。

全然どのキャラも好きになれない!!!!

普通海外ドラマって推しメン的な人を見続けて物語への入り込みが加速するのに、これはなかなかそれができない・・・!!

出てくる人物一人ひとり、本当に親身になってくれているのか

本当のことを言っているのか

いわゆる「善人」なのか

疑心暗鬼の状態で見続けることになっていたのですよ、いつのまにか。

 

何がすごいって

この物語を大きく動かすダブル主役の女性刑事2人が出てきても、彼女達の仕事ぶりや人柄を知るまでそれでも私は疑ってましたからね←

 

本当に心配してる?本当に守ってくれる?

言うて途中まで悪い人パターンとじゃないの?とか。

どうせずさんな捜査してそれによって何かしらの問題起こしてそこからやっと改心して物語の7割過ぎたあたりでマジメに捜査に取り組むとかなんじゃないの??へいへいおーらいそうなんでしょうーよ!!!

 

とにかくそんな感じで、

視聴者として女性刑事2人にすら心を開いていなかった訳ですよ。

 

でも話が進むにつれて、

彼女達がコツコツと捜査を続けていく姿に

少しずつ謎の疑いの心が消えていき

彼女達を信じるようになり

本当に少しずつ少しずつ犯人に近づいていくその過程で、

犯人が捕まることはもちろんだけど

この想いが募るようになるのです。

 

 

どうか1話目の彼女を救ってくれ。

 

 

 

と、そう思って観ている自分がいたのですよ。ほんと。

 

ほら、作品だから、きっと犯人はある程度捕まるだろうしね。

なんとなくそこに関してやっぱりある種のハッピーエンドが待ち受けているんだろうけどね。

 

どうか、どうか彼女に気づいてくれ。

どうか、彼女を助けてあげて。

どうか彼女に救いをって。

あなた達しか気づいてあげられないんだよって。

 

そして、あなた達なら気づいてあげられるって。

 

 

そう、これが私がこの物語を観ながら感じた

たった一つの希望。

この希望をもって、私が最後までこの物語を観るどころか

一気見することができたんだと思います。

 

あんなに疑いの目で見まくっていた2人が

唯一のこの物語の希望に変わっていた。

 

こう書くと劇的なんだけど

演出は全然劇的じゃないのですよ。

 

ほんと、自然に。

役者さんたちの芝居も、脚本も、演出も

劇的な雰囲気はできるだけ無いようにしていたんじゃないかなって感じです。

 

女性刑事2人をわかり易くいい人に書くこともなく

海外ドラマによくある

今!ここ!!!!はい!!!!!

みなさんちゅうもーーーーーーーーく!!!!!!

みたいなんも極力減らしてると言ったらいいのかな?

 

でもだからこそ徐々に

私自身がこの刑事2人に心を開くことができて

そして希望を持つことができたんじゃないなか?と考察しておる次第です。

はい。

 

 

 

 

そして最後の最後、

1話目のあの女の子が

海で刑事に電話をかけるシーン。

 

 

あの電話で話した彼女の言葉達を聞いて、

誰からも頼まれていないけども

何度も言うけど誰からも頼まれていないけれど

私の中でのこの作品のキャッチコピーが決まったのです。

 

 

 

「幼い頃からずっと

周りの人々をいい人と信じようと努力してたんです。

嫌な人のほうが多いかもしれないけれど

そう思った方が少しは希望を持てるから。

 

でもあの事件が起こって、人が信じられなくなった。

この世にいい人はいないんだと思った。

 

この事件が起きて一番辛かったのは

毎朝 起きて何の希望も持てないこと。

 

だんだんと気持ちが…

こんな残酷な世界ならいない方がマシと思うようになった。

 

でも ある日 突然あなたたたちのことを聞きました。

 

すごく離れた場所で 私を見つけて 間違いを正そうとしてる人達がいるって。

 

それが何よりうれしかった。

 

犯人の逮捕より、15万ドルより、ずっとずっと

2人のことを聞いたときに救われた。

 

今は目覚めたとき、一日に希望が持てる。

 

 

私を立ち直らせたと、知ってほしくて連絡しました。

 

 

 

 

本当にありがとう。』

 

 

 

 

この物語を観ていて感じた絶望は

1話目の彼女が感じたものより、そして実際にそういう被害にあわれた方達の感じた絶望に比べて当たり前だけどものすごく軽いものだと思う。

 

そしてこの物語を観て感じた希望もまた、きっと軽い。

 

 

それでも、この作品の素晴らしい点は

知らず知らずのうちに絶望と希望を1話目の彼女に少しでも寄り添った形で感じることができたこと。

 

完全に一致とは言わない。

でも、きっとシンクロしてた。

 

 

視聴しながら感じたたった一つの希望。

 

この2人なら助けてあげられるんじゃないか。

 

その希望はまさに、

彼女が心のそこから願っていたことだったと思う。

 

 

 

 

 

自分自身は誰かの希望になれるだろうか。

そして、誰かの絶望にならないだろうか。

そうやって、考えるきっかけになるそんな作品。

 

そして私もまた、彼女のように

この世界に希望を持って朝を迎えられると思えた作品でした。

 

 

 

 

 

佐藤雅美

twitter @sugar_masami